2020年11月10日
【はじめに】
日系現地法人が中国国内の銀行(日系等外資系銀行を含む)より借入やStand by L/Cの差入を行う場合、中国国外の親会社や金融機関からの保証を求められることが実務的に良くみられます。
前者のような借り入れは「クロスボーダー保証外貨管理規定」(汇发[2014]29号)における国外保証・国内借入(外保内貸)とされ、偶発債務として外貨管理上の管理対象となります。
今号ではそのような場合に発生する債務保証料の取り扱いについて説明します。
【解説:日本語】
1.税法上の取り扱い
(1)源泉徴収の必要
非居住者企業が取得する中国国内源泉の債務保証費用は、企業所得税法に基づき企業所得税を納税納付しなければなりません。中国国内企業が資金貸借等の経済活動中に非居住者企業が担保を提供することにより支払うないし負担する担保費用または類似した性質の費用は中国国内源泉の所得であると判断されます。
(非居住者企業企業所得税管理の若干問題に関する通知、国家税務総局2011年第3期公告、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810765
/n812156/n812499/c1187218/content.html の 二 )
増値税も同様の取り扱いとされるため、債務保証費用の金額に関わらず源泉徴収納付を行う必要があります。
(2)源泉徴収を行う日
源泉徴収納税をいつ行うかという論点は実務上発生しがちな点となります。企業所得税法第三十七条によると、源泉徴収義務者は支払の度または支払期限が到来したとき、源泉徴収を行わなければなりません。そのため原則としては、 実際に債務保証費用を支払った日、または支払義務の発生した日(債務保証費用の支払期限日)が納税義務の発生する日となります。
しかし、実務上債務保証費用等が外貨で規定されている場合、事前に納税義務発生日の為替レートも確定できずよって税額も確定できず、不便となります。そのため、納税義務発生日より前に源泉徴収納付を行う場合には、納付日の前日の仲値為替レートによって税額を計算し、納付できることが明確にされています。
(非居住者企業企業所得税の源泉徴収納付に関する問題の公告 国家税務総局公告2017年第37号、
http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c2878645/content.html の 四 )
話は税務から外れますが、金額にもよりますが銀行からは債務保証費用に関する源泉徴収証憑の提出を求められることもありますので、実務上はまず源泉徴収をしたうえで、債務保証料の支払い手続きに進む方が適切となります。
本稿の執筆時点は次の通りです:2020年6月1日
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