2020年07月10日
注:本稿は2020年5月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。
【はじめに】
今号では固定資産の減価償却のうち定額法以外の各公告で認められた一括償却や加速償却について説明します。
2019年3月の本号で一度以下の54号通知をご紹介しましたが、その後その他の公告における適用範囲が広がったため、再度現状の内容について取りまとめています。
関連規定は直近で発表されたものではありませんが、企業所得税確定申告にも影響があることや、比較的多くのお客様に影響がある割には認知度が足りないと平素感じている内容です。内容はシンプルなものですが、皆様のご高覧に供します。
【解説:日本語】
1.税法上の取り扱い
(1)54号通知
財政部・国家税務総局は2018年5月7日付で「設備・器具の損金算入に関する関連企業所得税政策通知」(財税[2018]54号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c3439412/content.html 、54号通知と言います)、国家税務総局は2018年8月23日付で「設備・器具の損金算入に関する関連企業所得税政策執行問題の公告」(国家税務総局公告第46号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c3712534/content.html )を発表しました。内容は次の通りです。
・期間: 2020年12月31日までの期間
・対象:新たに取得した設備・器具で単価が500万元を超えないもの。設備・器具とは建物・構築物以外の固定資産を指す。取得には中古資産の取得を含み、購入または自家建造を含む。
(注:無形資産に計上される土地使用権、長期前払費用に計上される内装費も除外といえます)。
・内容:企業所得税の所得の計算上、その期に一括で損金算入できる。
・取得の時点:購入した場合延払等の場合を除き発票の発行時点、延払の場合固定資産が届いた時点、自家建設の場合竣工完成の時点
・会計税務の不一致:会計処理と税務処理が不一致となってよい。
単価が500万元までの設備・器具が対象となるため、対象期間中の多くの新規取得固定資産が対象になると言えます。今のところ、2020年中の時限措置となっています。
(2)その他の一括償却・加速度償却規定
財政部・国家税務総局は2014年10月20日付で「財政部国家税務総局 固定資産加速度償却の完全化に関する企業所得税政策通知」(財税[2014]75号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c1260992/content.html )、国家税務総局は2014年11月14日付で「固定資産加速度償却の完全化に関する企業所得税政策関連問題に関する公告」(国家税務総局公告第64号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c2161348/content.html )を発表しました。
また、財政部・国家税務総局は2015年9月17日付で「財政部国家税務総局固定資産加速度償却の完全化を更に進める企業所得税政策通知」(財税[2015]106号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c1818604/content.html )、国家税務総局は2015年9月25日付で「固定資産加速度償却の完全化を更に進める企業所得税政策に関連問題する公告」(国家税務総局公告68号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c1827844/content.html )を発表しました。
その後、上述の規定は2019年4月23日付で「財政部税務総局 固定資産の加速度償却優遇政策適用範囲拡大に関する公告」(財政部税務総局公告2019年66号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341
/n810755/c4300874/content.html )が発表され当初の範囲から拡大されました。拡大後の内容を以下に取りまとめます。
・期間:規定なし
・対象:①新たに取得した研究開発・生産経営共用又は研究開発専用の器機、設備で単価が100万元を超えないもの。
②新たに取得した研究開発・生産経営共用又は研究開発専用の器機、設備で単価が100万元を超えるもの。
③会社が保有する単価5000元以下の固定資産。2013年以前に取得した資産の場合、単価が5000元以下の資産で未償却残高。
・内容:①③企業所得税の所得の計算上、その期に一括で損金算入できる。
②償却年数の短縮化又は加速度償却を取ることが出来る。短縮化は企業所得税法で規定されている年数の60%を下回らない年数とし、中古資産の場合には企業所得税法で規定されている年数から使用済みの年数を控除した年数の60%を下回らない年数とする。加速度償却については200%定率法又は年数総和法を使う、具体的には「国家税務総局企業の固定資産の加速度償却所得税処理関連問題に関する通知」(国税発[2009]81号)を参考とする。
・調査への備え:固定資産購入時の発票や記帳伝票は調査に備えて保管をしなければならず、台帳を作成し、税法と会計の差異情報を記録しなければならない。
2.会計上の取り扱い
会計上の原価・費用認識と税法上の所得計算が異なる場合、一時差異が発生しますので、税効果会計の関連準則に基づき繰延税金負債を認識することになります。
本稿の執筆時点は次の通りです:2020年2月1日
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また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。
本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:2020年12月31日
カテゴリ:ブログ,大陸:企業所得税解説