2020年01月20日
注:本稿は2019年9月の樱智而望企业管理咨询(上海)有限公司顧客向けレポートに掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で一部の図表が壊れておりますのでご了承ください。
【はじめに】
昨年の今頃に発布された個人所得税基礎控除額の改正(月3,500元→5,000元、当時)を皮切りに、個人所得税法の改正、年末に発布された個人所得税法実施条例の改正、所得控除(专项附加扣除)の導入、駐在員の個人所得税税務実務を全般的に明確化する財政部・税務総局「非居住者個人及び住所を有しない居住者個人に関する個人所得税政策関連公告」(財政部税務総局公告2019年第35号、以下35号公告といいます)の今春の公布に至るまでの一連の改革及びその後の実務定着により、個人所得税改正はひと段落しました。
この一連の法改正の中には、既に2022年から再度制度改正を行う内容が含まれています。駐在員の給与報酬は予算編成上無視できない大きな要因であることが多いと思いますので、この制度改正も同様に2022年からの変動因子として無視できないものであると考えられます。
本号では、この内容について今の段階から周知徹底のため、解説をいたします。
【本文】
改正法規の公布・(ほぼ)即実施が基本となる中国の税法改正実務において、2~3年後の制度改正が予告されているのは非常に珍しいことといえます。正確には法改正ではなく、時限的な優遇規定が2022年より撤廃となるという形式ですので、2022年より優遇撤廃により一般的には増税となることを予告している過渡的な規定の内容を理解する必要があります。
この過渡的な規定は、財政部税務総局「個人所得税法修正後関連優遇政策関連問題の通知」(財税[2018]164号、以後164号通知といいます)です。164号通知は2018年12月27日付に出た規定で、当時「年一回ボーナス優遇規定」の維持が明確化されたことで注目を集めた規定でした。
駐在員個人所得税税務に関連して164号通知の中では2点今回ご説明すべきものがあり、一つはその「年一回ボーナス優遇規定」、もう一つは「外国人個人手当免税優遇政策」です(ストックオプションに関する規定もありますがここでは割愛します)。後者は次号で説明します。
(1)年一回ボーナス優遇規定(164号通知、一)
居住者個人が取得する全年一回性のボーナスで、「国家税務総局個人が取得する全年一次性ボーナスの計算徴税の調整に関する個人所得税方法問題の通知」(国税発[2005]9号、以下9号規定といいます)の規定に符合するとき、2021年12月31日より前、当年の総合所得には算入せずに、[全年一回性のボーナス収入を12で割って得た数字]を本通知の「月次税率表(本稿添付)」に参照し、適用税率と速算控除数を確定し、単独で計算納税を行う。計算公式は:
納付税額=全年一回性ボーナス収入×適用税率―速算控除数
居住者個人が取得する全年一回性ボーナスは、当年の総合所得に算入して計算納税することを選択しても良い。
2022年1月1日より、居住者個人が取得する全年一回性ボーナスは、当年の総合所得計算に算入して個人所得税の計算納税を行わなければならない。
一言で説明しますと、2021年12月31日以前に実際に支給されるボーナスは、年1回に限り優遇税率を用いて税額を計算し、申告納税を行うことが出来ます。2022年以降はその規定がなくなり、すべて「総合所得」の一部として計算・申告納税を行います。
総合所得とは、2019年より導入された概念で、年間の所得を算出して年間の税額を求めるものです。
居住者個人の総合所得=一納税年度の収入(給与報酬所得等)-6万元の基礎控除-個人負担社保・積立金等-所得控除
この優遇規定は、2021年まではボーナスを上の総合所得に含めなくていいという規定になります。
9号規定で定義されている全年一回性ボーナスとは、源泉徴収義務者が一年間の経済活動利益と従業員に対する年間の業務業績の総合評価状況を踏まえ、従業員に一回で支払うボーナス、とされておりこれには年末昇給、年俸制や成果主義を実施する会社が評価に基づき実際に支給する年俸や業績給与を含みます。一納税年度内、一人の納税者に対してこの優遇処理は一度だけ使用することが出来ます。
<例>
簡単のため、月の給与が国内外の支給の分を合わせて税前3万元、年2回支給されるボーナスが各税前5万元、所得控除や手当免税適用の一切ない駐在員A氏がいます。
2021年12月まで、年一回ボーナス優遇規定を用いる場合
◎月次給与12か月分+2回目のボーナスについての税額
総合所得: 3万元×12+5万元-年間基礎控除6万元=35万元
税額: 35万元×25%-31,920=55,580元
◎1回目のボーナスについての税額
[全年一回性のボーナス収入を12で割って得た数字]:
5万元÷12=4,166元
適用税率と速算控除数を確定:
「月次税率表」により税率10%、速算控除210元
税額: 5万元×10%-210=4,790元
総税額: 55,580+4,790=60,370元
2022年1月以降、優遇規定廃止後
総合所得: 3万元×12+5万元×2-年間基礎控除6万元=40万元
総税額: 40万元×25%-31,920=68,080元
実際には、駐在員の方の大部分がグロスアップ計算によって税額を算出するため、上のような計算方法ではないことにご留意頂きたく、上は実際にどのように税額が増えるかを試算するためだけのものとお考えください。
一度貴社の申告計算担当者または申告担当業者に、2022年以後の影響を試算頂くと良いかもしれません。
添付資料として、「総合所得」の税率・速算控除表、及び年1回ボーナス規定で使用できる「月次税率表」をご参照ください。
資料1:「総合所得」の税率・速算控除表
个人所得税预扣率表一
(居民个人工资、薪金所得预扣预缴适用)
级数 | 累计预扣预缴应纳税所得额 | 预扣率(%) | 速算扣除数 |
1 | 不超过36000元 | 3 | 0 |
2 | 超过36000元至144000元的部分 | 10 | 2520 |
3 | 超过144000元至300000元的部分 | 20 | 16920 |
4 | 超过300000元至420000元的部分 | 25 | 31920 |
5 | 超过420000元至660000元的部分 | 30 | 52920 |
6 | 超过660000元至960000元的部分 | 35 | 85920 |
7 | 超过960000元的部分 | 45 | 181920 |
資料2:月次税率表
按月换算后的综合所得税率表
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附件下载: |
次号は「外国人個人手当免税優遇政策」について説明いたします。
本稿の執筆時点は次の通りです:2019年9月4日
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また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。
本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:2021年12月31日
カテゴリ:ブログ,大陸:個人所得税解説