苦境企業への社会保険料部分還付

注:本稿は2019年7月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

 

【はじめに】

社会保険料率の引き下げは今年も行われていますが、いくつかの地域の企業に対しては納付済の社会保険料の一部を補助金として返還するという実務があります。

内容について、簡単にご紹介します。

 

 

 

 

【納付した社会保険料の還付】

 

「苦境企業」を対象とした社会保険料還付の実務は地域に跨ってあるものの内容は地域によっても異なるため、以下では一般的な概念を記載します。

 

(1)人員削減を行わず、将来も行わない企業を対象とする

通常、還付の対象となる企業は一定期間内に「人員削減を行っていない」または「人員削減が僅少である」(人員の5%以下等)企業で、かつ社会保険の納付義務を果たしている企業であるようです。そういった企業のうち、一時的に生産経営が苦境に陥っているが、将来の回復については十分に有望であり、今後一年間現場工員に対する人員削減を行わないまたはあっても僅かであることを表明している企業を対象に、前年一定期間の納付済社会保険料の一定割合を企業に還付する決定がなされることが多いようです。

また、他の税目の減免が対象となることもあります。

 

(2)定量的な利益悪化指標の条件を充たす企業を対象とする

連続半年以上赤字となっている、前期比で3割以上利益が減少し続けている、等苦境企業の認定に際する定量指標は地域によってバラバラなようで、裁量もあると思われます。

 

(3)最低基数等を下回る工員がいる企業を対象とする

一部の工員の給与報酬が実際に地域の最低基数や平均給与の60%といった指標を下回っているような企業を対象とするようです。

 

(4)人力社会保障部門が主導で還付を決定する

税部門、商務部門、経信部門、財政部門と協働しながら、社会保険局が主導となるケースが多いようです。

 

(5)製造業等を対象とする

対象となる業種は製造業、建築業などの関係部門が定める「苦境業種」が基本ですが、飲食業や不動産業が含まれることもあるようです。一方で製造業のうち石油化学業や紙パルプ業等が認められないこともあります。

 

(6)年ごとに認定される可能性がある

本件実務は数年以上前からありますが、毎年地域によって認定検討が行われているようであり、今年(2019年)も中国とアメリカの貿易摩擦等の影響によって実施されている地域があります。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:2019623

 

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