2019年08月10日
注:本稿は2019年4月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。
【はじめに】
今号も、直近の規定ではないですがお客様のリクエストに基づき、一般製造・研究開発業の研究開発促進税制である「研究開発費の追加損金算入」の関連規定の概説を行います。
【概説:日本語】
- 大別
まず、研究開発費の追加損金算入に関する規定は大きく分けて2つがあります。
① 新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入
② 科学技術型中小企業の新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入
科学技術型中小企業かどうかは、以下の規定で判定します。
科技部財政部国家税務総局 「科学技術型中小企業評価弁法」の印刷発布に関する通知(国科発政[2017]115号、http://www.most.gov.cn/mostinfo/xinxifenlei/fgzc/
gfxwj/gfxwj2017/201705/t20170510_132709.htm 、以下115号規定といいます)
115号規定中、科学技術型中小企業に該当する企業は「高新技術企業資格証書」などを有するか、または「科学技術型中小企業評価指標」の「総合評価ポイント」が60より多いなどの条件を充たす必要があります。総合評価ポイントは、科学技術人員指標(最大20ポイント)、研究開発投入指標(最大50ポイント)、科学技術成果指標(最大30ポイント)の合計で計算をします。
以下では、科学技術型中小企業ではない【一般】企業を対象とした規定について説明をします。
- 新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発費の追加損金算入
企業が新技術、新製品、新工芸生産開発の研究開発を行う時、その費用の実質が存在し、無形資産計上せずに費用が発生した期に研究開発費として損金計上を行う場合、計上した研究開発費用の75%を追加損金算入することができます。無形資産に計上する場合には、計上した無形資産の償却費の75%を追加で特別償却することができます。
「追加損金算入」は確定申告上納税調整の一環として行うため、日本のように税額控除を行うわけではありません。
関連規定は色々ありますが、現在以下の2つの規定が主な内容を規定しており、他の規定はこれらを補足・調整したりする内容となっています。
財政部国家税務総局科技部「研究開発費用の追加損金算入政策の完全化に関する通知」(財税[2015]119号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
国家税務総局「企業研究開発費用の追加損金算入政策関連問題の公告」(国家税務総局公告2015年97号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
ここで、本来の追加損金算入割合は50%ですが、2018年1月1日から2020年12月31日までの期間は以下の追加優遇規定により75%と規定されています。
財政部国家税務総局科技部「研究開発費用追加損金算入割合の引き上げに関する通知」(財税[2018]99号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
まず対象となる産業の対象は広く、ホテル業、飲食業、卸売業、小売業、不動産業、商務サービス業などを主要業務とする会社以外すべてとなっています。
研究開発費として計上を行うために、プロジェクトの計画書を作成する、専任の研究開発人員が誰かを明確にし研究開発を行う資産(機械等)が何かを明確化する、研究開発支出としての補助帳簿を作成する、企業所得税確定申告書上追加の書面を提出すると言った要求があります。
研究開発は外部委託の研究開発を妨げるものではありませんが、以下のような活動は研究開発とは呼ばないと言った制限があります。
・製品の通常の改良、アップグレード
・製品化後のアフターサービス
・既存製品のプロセス改善
対象となる研究開発費の範囲を費目別に定義すると、以下のようになります。
・研究開発人員の人件費・・・直接研究開発に従事する人員の給与報酬、社会保険、外部研究開発人員の労務費用
・直接投入費用・・・研究開発活動の直接消耗費用、中間試験試作品の開発製造費、サンプルやテスター等の購入費、試作品の検査費用、研究活動設備の修理調整費用、関連するオペレーティングリース費用
・固定資産の減価償却費・・・研究開発活動の器具備品の減価償却費
・無形資産償却費・・・研究開発活動に使うソフトウェアや特許権の償却費用、ライセンス等の償却費用
・新製品の設計費等・・・新製品の設計費用
・外部機構や個人に委託して進めた研究開発活動で発生した費用
なお、研究開発費の会計処理は企業会計準則6号―無形資産などに基づき行います。
本稿の執筆時点は次の通りです:2019年3月7日
本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。
また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。
本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:2020年12月31日
【中文】
关于开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用加计扣除:
企业为开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用,未形成无形资产计入当期损益的,在按照规定据实扣除的基础上,按照研究开发费用的75%加计扣除;形成无形资产的,按照无形资产成本175%摊销。对从事文化产业支撑技术等领域的文化企业,开发新技术、新产品、新工艺发生的研究开发费用,允许按照税收法律法规的规定,在计算应纳税所得额时加计扣除。
主要法规:
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
财政部 国家税务总局 科技部 关于完善研究开发费用税前加计扣除政策的通知
财税〔2015〕119号
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
国家税务总局 关于企业研究开发费用税前加计扣除政策有关问题的公告
国家税务总局公告2015年第97号
补充法规:
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/
财政部 税务总局 科技部 关于提高研究开发费用税前加计扣除比例的通知
财税〔2018〕99号
研发费结构:
一、人员人工费用小计
直接从事研发活动人员 工资薪金
五险一金
外聘研发人员的劳务费用
二、直接投入费用小计
研发活动直接消耗 材料
燃料
动力费用
用于中间试验和产品试制的模具、工艺装备开发及制造费
用于不构成固定资产的样品、样机及一般测试手段购置费
用于试制产品的检验费
用于研发活动的仪器、设备的运行维护、调整、检验、维修等费用
通过经营租赁方式租入的用于研发活动的仪器、设备租赁费
三、折旧费用小计
用于研发活动的仪器的折旧费
用于研发活动的设备的折旧费
四、无形资产摊销小计
用于研发活动的软件的摊销费用
用于研发活动的专利权的摊销费用
用于研发活动的非专利技术(包括许可证、专有技术、设计和计算方法等)的摊销费用
五、新产品设计费等小计
新产品设计费
新工艺规程制定费
新药研制的临床试验费
勘探开发技术的现场试验费
六、其他相关费用小计
七、委托外部机构或个人进行研发活动所发生的费用
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