「500万元までの一定の固定資産の取得時一括償却」

注:本稿は2019年3月のみずほフィナンシャルグループの Mizuho Global InfoStation- 中国会計・税務の現場から に掲載されました弊社提供記事です。貼付の過程で図表の一部が壊れておりますことをご了承ください。

【はじめに】

今号では一定の固定資産の一括償却について説明します。

関連規定は直近で発表されたものではありませんが、2018年度の企業所得税確定申告にも影響があることや、比較的多くのお客様に影響がある割には認知度が足りないと平素感じている内容です。今回あるお客様のリクエストによりこの内容を本紙面で取り上げることに致しました。内容はシンプルなものですが、皆様のご高覧に供します。

【解説:日本語】

 

1.税法上の取り扱い

 

 財政部・国家税務総局は2018年5月7日付で「設備・器具の損金算入に関する関連企業所得税政策通知」(財税[2018]54号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c3439412/content.html )を発表しました。内容は次の通りです。

 

・期間:2018年1月1日から2020年12月31日までの期間

・対象:新たに取得した設備・器具で単価が500万元を超えないもの。設備・器具とは建物・構築物以外の固定資産を指す

(注:無形資産に計上される土地使用権、長期前払費用に計上される内装費も除外といえます)。

・内容:企業所得税の所得の計算上、その期に一括で損金算入できる。

 

単価が500万元までの設備・器具が対象となるため、対象期間中の多くの新規取得固定資産が対象になると言えます。

 

これまでの一括償却の規定は企業所得税法・実施条例、業種別規定を除き、2014年の「財政部国家税務総局 固定資産加速度償却の完全化に関する企業所得税政策通知」(財税[2014]75号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1260992/content.html )に単価5,000元以下の固定資産について一括償却を認めるものがあります。

また、財税[2014]75号は加速度償却についてもふれていますが、加速度償却については「財政部国家税務総局固定資産加速度償却の完全化を更に進める企業所得税政策通知」(財税[2015]106号、http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/

c1818604/content.html )及び関連した確定申告方法などを定めた法規があります。

 

 

2.会計上の取り扱い

 

会計上の原価・費用認識と税法上の所得計算が異なる場合、一時差異が発生しますので、税効果会計の関連準則に基づき繰延税金負債を認識することになります。

 

 

本稿の執筆時点は次の通りです:201937

 

本ページは執筆日より前の法令等に基づいて作成されており、直近及びこれ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。国家税務総局等のURLは執筆日現在で有効なものを記載しています。

また、本ページは概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。法令法規の説明を除き、解説は執筆者個人の判断や解釈を反映するものであり、所属団体としての意見を表明するものではありません。企業の所在地域、種類や規模によっても解釈が異なる可能性があります。個別の実務上の問題については貴社と直接契約するプロフェッショナルにご相談ください。貴社と契約するプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本ページの情報を基に判断し行動されないよう、お願いいたします。

 

本稿の内容は最長で次の時点まで有効である可能性があります:20201231

 

 

【法规:中文】

 

财政部 税务总局

关于设备 器具扣除有关企业所得税政策的通知

财税〔2018〕54号

 

为引导企业加大设备、器具投资力度,现就有关企业所得税政策通知如下:

 

一、企业在2018年1月1日至2020年12月31日期间新购进的设备、器具,单位价值不超过500万元的,允许一次性计入当期成本费用在计算应纳税所得额时扣除,不再分年度计算折旧;单位价值超过500万元的,仍按企业所得税法实施条例、《财政部 国家税务总局关于完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2014〕75号)、《财政部 国家税务总局关于进一步完善固定资产加速折旧企业所得税政策的通知》(财税〔2015〕106号)等相关规定执行。

 

二、本通知所称设备、器具,是指除房屋、建筑物以外的固定资产。

 

财政部 税务总局

 

2018年5月7日